先にお伝えしたいのは、ホームページがないのは、腕が悪いからでも、やる気がないからでもないということです。ただ、お客さんの側から見ると「検索しても出てこない」「紹介されたけど確認できない」という状態になっていて、知らないうちに比較の土俵から外れていることがあります。この記事では、ホームページがない工務店が、施主や元請けからどう見えているのかを、順を追ってお伝えします。

いま、家の工事を考えている人のほとんどは、業者の名前を聞いたらまずスマホで検索します。会社名、屋号、地域名。指が勝手に動く、と言っていいくらい当たり前の行動になっています。

そこで何も出てこなかったとき、お客さんの頭に浮かぶのは「この会社、大丈夫かな」という小さな引っかかりです。悪気はありません。ただ、確かめようとしたのに確かめられなかったという事実だけが残ります。

ここが大事なところですが、お客さんは「ホームページがない=腕が悪い」とは思っていません。思っていないのですが、判断の材料が何もないので、先に進めないのです。人は分からないものを選べません。結果として、検索して情報が出てきた別の会社のほうへ、自然と気持ちが流れていきます。あなたの仕事ぶりが比べられて負けたのではなく、比べる前に候補から静かに外れている。これが「検索して出てこない」ときに起きていることです。

紹介されたのに、確認できないという不安

「うちは紹介で回っているから、検索なんて関係ない」——そう感じる方も多いと思います。ところが、紹介のときこそ検索されています。

知人から「いい大工さんがいるよ」と聞いた人は、その場では「ぜひ」と言いながら、家に帰ってから名前を検索します。紹介してくれた人を疑っているのではなく、家に上げる相手、大きなお金を払う相手を、自分の目でも確かめておきたいのです。これは自然な気持ちですし、逆の立場ならきっと同じことをするはずです。

そこで何も出てこないと、「紹介してもらったけど、どんな会社か分からなかった」という宙ぶらりんの状態になります。断る理由もないけれど、頼み切る安心もない。この状態が続くと、話はゆっくりと立ち消えになりがちです。紹介という一番あたたかい入口が、確認できないという一点で細ってしまう。これは、もったいないとしか言いようがありません。

ポイント

紹介の力を弱めているのは、腕でも人柄でもなく、「調べたときに何も出てこない」ことそのものです。紹介されたあとの検索で、屋号と顔と施工写真が出てくるだけで、話の進み方は変わります。

比較の土俵に、そもそも乗っていない

施主が相見積りを取るとき、候補に挙がるのは「調べられる会社」です。ホームページがあれば、対応工事や施工写真を見て「ここにも声をかけてみよう」となる。逆に情報がなければ、声のかけようがありません。

元請けとの取引でも似たことが起きます。新しい取引先を探す担当者は、候補の会社名を検索して、実態の分かる会社から声をかけていきます。何も出てこない会社は、悪い印象を持たれる以前に、リストに載らないのです。

つまり、ホームページがない状態というのは「比較で負けている」のではなく、「比較が始まる前に、土俵の外にいる」状態です。土俵に乗ってさえいれば、腕と誠実さで十分に勝負できたはずの場面で、勝負そのものが始まらない。ここが、いちばん見えにくく、いちばん惜しいところだと思います。

腕と発信は、別の問題

長く現場をやってきた方ほど、「仕事は腕で取るものだ」という思いがあります。その考えは正しいと思います。実際、最後に信頼を決めるのは仕上がりであり、現場での振る舞いです。

ただ、腕の良さは見てもらえて初めて伝わるものです。どんなにいい仕事をしていても、お客さんがそこへたどり着けなければ、伝わりようがありません。腕を磨くことと、腕を見てもらえる場所を用意すること。この二つは別の仕事で、どちらが欠けても仕事にはつながりにくいのです。

幸い、後者は難しいことではありません。屋号と顔、対応できる工事、施工写真、連絡先。この程度の「確認できる場所」が一つあるだけで、ここまで書いてきた「出てこない」「確かめられない」「土俵に乗らない」は、まとめて解消に向かいます。ホームページを持つと具体的に何が変わるのかは、工務店がホームページを持つメリットの記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。また、「作るとなったら何を載せればいいのか」は職人・一人親方向けのホームページの作り方で解説しています。

あわせて読みたい:この「確認できない不安」を裏づける調査データの話は、ホームページがない会社は信用されない?「不安を感じる」42.5%という調査の話にまとめています。

よくある質問

Q. これまで紹介だけで仕事が回ってきました。それでもホームページは要りますか?

いま紹介で回っているなら、それはとても良い状態です。ただ、この記事で書いたとおり、紹介された相手も検索します。ホームページは紹介の代わりではなく、紹介を取りこぼさないための受け皿と考えていただくのが近いと思います。

Q. SNSはやっています。それではだめですか?

SNSも良い発信ですが、投稿は流れて埋もれていきますし、会社の全体像(対応工事・エリア・連絡先)を一目で確かめる場所としては不向きです。検索したときにいつも同じ場所で確認できる、という役割はホームページが向いています。両方あるのが理想ですが、順番をつけるなら「確認できる場所」が先です。

Q. パソコンが苦手で、作っても更新できる自信がありません。

更新が止まっても、屋号・対応工事・施工写真・連絡先が載っているだけで「確認できる場所」としての役割は果たせます。頻繁な更新より、まず正確な情報が一か所にあることのほうが大切です。

まとめ

ホームページがない工務店は、お客さんから「悪く」見えているわけではありません。ただ、「見えていない」のです。検索して出てこないから判断材料がなく、紹介されても確認できないから安心し切れず、比較が始まる前に候補から外れている。腕の問題ではなく、確認できる場所があるかどうかの問題です。逆に言えば、小さくても確認できる場所を一つ用意すれば、いまの腕と実績のまま、土俵に乗れるようになります。まずは「自分の屋号を検索したら何が出てくるか」を、一度ご自身のスマホで確かめてみてください。そこが出発点になります。